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zoom RSS ゴッホ「ある男の肖像画」 と真贋鑑定

<<   作成日時 : 2007/08/05 05:41   >>

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■ゴッホ「ある男の肖像画」、別人の作品と判明(読売新聞 - 08月04日 12:55)
 【ブリュッセル=尾関航也】オランダ生まれの印象派画家ビンセント・ファン・ゴッホ(1853〜90年)の作品とされ、オーストラリアの美術館が所蔵していた油彩画「ある男の肖像画」が、実は別人の作品だったことが判明した。

 アムステルダムのファン・ゴッホ美術館が鑑定し、断定した。

 問題の絵は、メルボルンのビクトリア州立美術館が1940年に収集家から購入し、所蔵していたもので、現在なら約20億円の価値があるとされていた。

 ゴッホの33歳前後の作品と見られていたが、昨年、英国の美術館に貸し出された際に、同時代のほかの作品とは「作風が異なる」と指摘され、アムステルダムで専門家が調査していた。作品がゴッホ作とされた経緯など、詳細は明らかでない。

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 ゴッホの「ある男の肖像画」が、本人の作ではないと鑑定されたそうだ。
http://www.theage.com.au/articles/2007/08/03/1185648104036.html
http://www.ngv.vic.gov.au/media/mediaReleases/38/display

フィンセント・ファン・ゴッホ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%83%E3%83%9B

 最新の科学鑑定をも導入しての結果だと思われるが、鑑定に1年近くもかかったことになる。(では誰の作品かというところも気になる。同時代の別の画家の作品をゴッホと誤認していたのか、それとも初めから贋作としてつくられた物だったのか。)
 過去の日記でも述べたことだが、美術品に関わる真贋鑑定の難しさや、鑑定人の権威についても考えさせられる一件には違いない。
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 過去にも、ゴッホ作品の真贋問題が取りざたされたことも幾度かある。有名な例では、現在、損保ジャパン東郷青児美術館
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/
に所蔵されている「ひまわり」などは、ご覧になった方も多いと思う。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B2%E3%81%BE%E3%82%8F%E3%82%8A_%28%E7%B5%B5%E7%94%BB%29
1987年3月に安田火災海上が3992万1750ドル(当時のレートで約58億円)で購入したものだが、その後一時、贋作とされた経緯がある。(1997年10月英新聞サンデータイムスの報道ではエミール・シェフネッケルの筆ではないかと推測している。)疑惑についてはゴッホ美術館が否定しているが、エミール・シェフネッケルについては、その他のゴッホ作品への加筆や贋作疑惑も多く、完全に贋作疑惑が払拭されたとは言えない。うがった見方をすれば、損保ジャパン東郷青児美術館の「ひまわり」を否定することは、当のゴッホ美術館の「ひまわり」さえも疑わしくなってくるから否定できない、とさえ考えることも出来るのだ。
 ついでなから東郷青児について言えば、弟子の画家が、東郷の作品は私が代作していたと週刊誌に衝撃の告白をして大騒ぎになったことがある。また東郷は、二科会の画家でもあった藤田嗣治の直弟子を自称していた。(藤田は非常に贋作が多いことで有名。)本人はパリ在住だったため、当時決定的な鑑定人がいなかった。ある人が東郷に3点の藤田の作品の鑑定を依頼したところ、2点は偽物で、本物は1点だけという返事が戻ってきた。この人が仕事でパリへ行くことになって、3枚の絵を直接藤田本人に見てもらったところ、東郷が偽物とした2点は本物で、本物とした1点が偽物だったという。この一件で東郷の権威は失墜し、藤田が亡くなった後は東京美術倶楽部が鑑定を行うことになった。(東京美術倶楽部は近代日本人作家複数の所定鑑定人であり、鑑定の権威の一つではあるが万全ではないことを付け加えておく。)
 こうした例を見てみると、ある種の利権や思惑も関わっていそうで、まったく嫌になってくる。贋作が流通する過程として、初めから贋作の意図を持って制作されたものから、純粋に自己の画力向上のための模写が後にサインを偽造されたり、本人の意思とは無関係に真作として流通していってしまうケースなどがある。(もとから贋作として制作された作品の多くは、どこかに手抜きがあったり不純な動機が見え隠れするものだ。純粋な目的でつくられた模写でそれなりの画力のある作品の場合、間違った鑑定結果を招くことにもなる。)大きな例をあげれば、ループル美術館所蔵のミロのヴィーナスでさえも、ギリシャ時代の模作(あるいは贋作)とも言われているのである。
 2003年に日本のオークションで、1万円のエスティメート(落札予想価格)の絵画が、ゴッホと鑑定されて、6600万円で落札された(現在ウッドワン美術館所蔵)記憶も新しい。ゴッホというネームバリューなしにはあり得なかったことだが、とたんにこのオークションのすべての作品がエスティメートの10数倍から100倍以上でつぎつぎ落札されていく結果には、複雑な思いがある。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~p_prince/auction-bid.html
 
 今回の「ある男の肖像画」の一件は、逆のケースであるが、
鑑定結果を聞いた、メルボルンのビクトリア州立美術館の落胆は大きいだろう。英国に貸し出さなければ、真作で通用していたのに……。
 
 美術品を売買するには、作品そのものをしっかり、見る眼がなくてはいけない。(または本当に信頼できる画商から買うこと。)自分が気に入って、納得した値段で購入すべきで、利殖や投機目的で美術品には手を出さない方が無難である。(作家名や値段だけで飛びつくと、必ずと言っていいくらい痛い目に遭う。)たとえ無名作家や作者不詳の絵画でも、素晴らしい作品はある。ゴッホの作品だって、生前はたった1枚しか売れなかったのだ。大金を出して贋作をつかまされるよりも、自分の感性に合致したお気に入りの作品を手に入れるのが一番である。
 総じて美しい作品は(誰もがそう思うわけで)お値段もよいものだが、密かに素晴らしい作品を発見出来たときは何ともいえない。日本人は一般に、諸外国人に比べて美術品を買うという習慣があまりないけれど、お気に入りの絵(美術品)を眺めていると、実に心を豊かにしてくれる。これは真理だと思う。美術館で眺めるのもいいけれど、高価でなくてもいいから、一枚の絵を買ってみることをお勧めしたい。
(街で声をかけてきて、高額ローンを組ませ版画などを押し売りする、エウリアン画廊にはご注意あれ。)

美術品に関するご相談は
http://www5e.biglobe.ne.jp/~p_prince/


p_prince 2007年08月06日 02:30
CNNなどで、さらに詳しく報道されたようだ。
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ゴッホの作品とされて70年、実は他人の作品と判明
2007.08.03
Web posted at: 18:14 JST
- CNN/AP

メルボルン──ポスト印象派の巨匠、フィンセント・ファン・ゴッホの作品として70年以上にわたり、オーストラリアの美術館が所蔵していた作品が、実際は他人の作品であることが判明した。オランダのゴッホ美術館の鑑定で明らかになったと、オーストラリアの美術館が3日、発表した。

ゴッホ作ではないことが判明したのは、豪メディア王ルパート・マードック氏の父キース・マードック氏が1939年にオーストラリアに持ち込んだ、「Head of a Man」。第二次世界大戦の勃発を機に、ビクトリア州のナショナル・ギャラリーが1940年、約3500ドルで買い上げた。

同ギャラリーのジェラード・ボーガンさんによると、ギャラリーが購入する以前から、この作品は10年以上にわたって「ゴッホ作」とされていたため、そのままゴッホ作として収蔵されたという。

ゴッホの作品かどうかという疑問が持ち上がったのは、昨年8月のことだった。スコットランド・エジンバラのディーン・ギャラリーでこの作品が展示され、本当にゴッホの作品なのかという批判を受けたという。

エジンバラでの展覧会後、ナショナル・ギャラリーはすぐに、この作品をゴッホが生まれたオランダのゴッホ美術館に送付し、調査を依頼した。
その結果、ゴッホと同時代の作品だが、画風に大きな違いがあり、他人作と鑑定された。

作品は、1886年製作との記録があり、ゴッホ作とされていたこれまで、約2100万ドル前後の価格がついていた。

ボーガンさんは、この作品が贋作(がんさく)だったわけではなく、単に作者名が誤って伝わっただけだろうと強調。「この作品を、ゴッホ作として流通させたという証拠はない」と話している。
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 贋作だったわけではなく……、というのと、リアトリビューション(再鑑定による作家名の変更)は公立美術館の通常の業務だと説明している点など、苦しい釈明ではある。ビクトリア州立美術館では鑑定結果が出るまで真作だと思っていたわけだし、他の作家の作風がたまたまゴッホに似ていたというよりも、ゴッホに似せて描かれた作品と考える方が自然ではなかろうか。(別人の作品にゴッホ流の加筆がされた可能性もある。)

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